先日スウェーデンに行った際に立ち寄った、エリック・グンナール・アスプルンド(Erik Gunnar Asplund 1885-1940)による美しい丸筒状デザインのストックホルム市立図書館。こんな感性にも訴えかける図書館が近所にあれば、小さい頃サッカーばかりに明け暮れるんではなく、もっとぐるりと視野を広げて勉強したんではなかろうかと。
「ソーシャルを学ぶ旅」の第二弾です。
今回はドイツベルリンのクロイツベルク地区にあるUSEという元は視覚障害者たちのための工房だったUNION SOZIALER EINRICHTUNGEN(USE)に行ってきました。昔ながらの洋服ブラシやシューズブラシなどの定番商品だけでなく、イベント用のピンクとイエローのド派手な清掃ブラシ、ベビーブラシやマッサージボウルに至るまで、Casa BRUTUSにも掲載されるような現代的で競争力ある商品が、今もなお手作業でつくられています。かつては、ベルリン市の公共機関がこの工房のブラシ等を優先的に購入することで成り立っていたモデルですが、1990年に東西ドイツが統合されるとベルリン市からの援助は受けれなくなり、その後、経営危機に陥ったそうです。この経営危機を救ったのが、USEのすぐ側にオフィスを構えているVogt + Weizeneggerというデザイナーたちで、かれらは1998年にThe Imaginary Manufactoryというプロジェクトを立ち上げ、従来のブラシを洗練された商品に蘇らせます。現在ではさまざまなデザイナーたちが商品づくりにかかわっていて、写真にある熊のブラシは、Jorg Hundertpfundのデザインによるもので現在ではベルリン土産の代表的な存在にまでなっています。そしてこの障害者工房と社会派デザイナーとのコラボモデルが、このUSEを契機としてドイツ全土に広がりをみせているところ、また、これらのイノベーティブな商品たちが“経営上の危機的な状況”から生まれたところもポイントです。ちなみに、馬の毛とブナの木でつくられたブラシにはブランド名(DIM)などは一切入っておらず、併設されているCafeでベジスープ(パン付き)とカフェラテをセットで注文しても4€ほどと、商売気がほとんど感じられないところもなんだかソーシャル的で(?)良い感じでした。
【今回訪れた場所】
UNION SOZIALER EINRICHTUNGEN gGMBH
◯OranienstraBe 26, 10999 Berlin
☎︎(49)30-285-03-01-21
◯営業時間:10時〜19時
◯USE Berlin Bear Brush 29€, Baby Brush 15€〜
【今回のソーシャル・キーワード】
障害者雇用, THE IMAGINARY MANUFACTORY, 社会派デザイナー